•  ルネサンスゆかりの地であるイタリアのフィレンツェの中心にドゥオモという壮麗な建築物があります.正式にはサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂 ,花の聖母教会と呼ばれる建物です.15世紀初頭,建設開始から100年以上が経過していたこの大聖堂の造営は,その最終局面で大きな問題に直面していました.それは,上から見ると十字架の形をした大聖堂の縦と横が交わる正方形の部分に直径42mにもおよぶ円形の丸天井(クーポラ)を載せなければならないというものでありました.街の話題をさらったこの天井の建設方法を決めるコンクールを勝ち抜いた大建築家フィリッポ・ブルレネスキは,これまで無かった新しい開発手順を発明して,この難工事を成し遂げることに成功したのでした.その開発手順とは,開発の局面を,「設計要求の解析」,「コンセプト設計」,「詳細設計」,「製作プロセスの計画」,「部品の加工」,「部品の組み立て」という6つのステップに分けて開発を進めることでした. クーポラの建設から6世紀が経過した今日,多くの製品開発において取られている方法論も,基本的にはこのフィリッポ・ブルレネスキの発明した開発手順とほとんど変わりがありません.
  •  しかしながら,このように製品開発プロセスが大きな流れにおいて体系化されたにもかかわらず,その細部、特にその中核を成す要求認識や設計プロセスは,昔も今も混沌としたままであり,それがゆえに私たちが相対さなければならない問題は益々大きなものになってきています.このホームページは,この問題を低減するひとつの方法として,製品開発プロセスの中心である要求認識プロセスや設計プロセスを体系的なアプローチによってモデル化する方法論について解説しています.